「確定申告が必要だとわかったのはいいけれど、結局どこまでを経費にしていいのか、さっぱり線引きがわからない」。在宅で仕事をしているフリーランスや副業ライターなら、一度はここで手が止まったのではないでしょうか。
家賃も、電気代も、スマホ代も、仕事に使っている気はする。でも全額入れていいわけでもなさそうで、どこまで認められるのか自信が持てない。私もそうでした。
この記事では、フリーランスが経費にできるものの具体例から、在宅ワーカーが必ずつまずく家事按分の考え方まで、私が初めての確定申告で実際にどう判断したかを交えて、実装レベルで解いていきます。「結局どこまで?」のモヤモヤを、ここで一度すっきりさせてしまいましょう。
フリーランスが経費にできるものとは何か
経費の話に入る前に、そもそも経費とは何なのかを一度はっきりさせておきます。ここの土台がぐらついていると、個別の支出を「入れていいのか、ダメなのか」で延々と迷うことになるからです。逆に言えば、軸さえ持てば判断はずっと楽になります。
経費とは「事業に必要な支出」のこと
経費とは、ひとことで言えば事業を回すために必要だった支出のことです。フリーランスとして仕事をして得た売上から、その仕事のためにかかった費用を差し引いた残りが、税金の計算のもとになる所得になります。つまり経費を正しく計上すれば、課税される所得が圧縮され、結果として納める税金も抑えられるという仕組みです。
難しく考える必要はありません。「この支出は、自分の仕事のために発生したものか?」という問いに、自信を持って「はい」と言えるかどうか。そこが経費かどうかの出発点になります。
なかしま仕事と関係のないプライベートな出費は、当然ながら経費にはできません。
経費を計上すると所得が圧縮される
具体的にイメージしてみます。たとえば年間の売上が70万円あり、仕事のためにかかった費用が15万円だったとします。このとき税金の計算のもとになるのは、売上そのものの70万円ではなく、そこから費用を引いた55万円の所得です。経費を1円も計上しなければ70万円に対して課税される、というのが大きな違いになります。
| 項目 | 経費を計上しない場合 | 15万円を計上した場合 |
|---|---|---|
| 売上 | 70万円 | 70万円 |
| 経費 | 0円 | 15万円 |
| 課税のもとになる所得 | 70万円 | 55万円 |
「経費にできるものを取りこぼす」というのは、本来払わなくていい税金を払ってしまうのと同じことです。経費の計上は、各種の控除とならんで所得を抑える基本の手段であり、フリーランスにとって無理のない節税の第一歩でもあります。だからこそ、何が経費にできるのかを知っておく価値があります。なお、そもそも確定申告がいくらから必要なのかという全体像については、フリーランスの確定申告がいくらから必要かで解説していますので、入口から確認したい方はそちらをどうぞ。



経費って身構えがちですけど、結局「これ仕事のためだよね?」って言えるかどうか、それだけなんです。私もこの一本に気づいてから、ずいぶん気が楽になりました。


フリーランスが経費にできるものの具体例を勘定科目別に押さえる
軸が決まったところで、在宅で働くフリーランスや副業ライターが実際に経費にできるものを、勘定科目ごとに見ていきます。勘定科目というのは、支出を仲間分けするためのラベルのようなものだと考えてください。帳簿に記録するときに、どの科目に入れるかを決めておくと、後の管理がぐっと楽になります。
通信費・消耗品費など在宅ワークで使う科目
在宅ライターがまず押さえておきたいのが、通信費と消耗品費です。通信費には、仕事で使うインターネット回線やスマホの料金が当てはまります。消耗品費は、使っているうちになくなっていく細かいもの、たとえばプリンターのインク、文房具、10万円未満の比較的安価な備品などが入ります。
このあたりは在宅で仕事をしていれば日常的に発生する支出です。一つひとつは小さく見えても、1年分を積み上げると意外とまとまった金額になります。レシートを捨てずに取っておくだけで、しっかり経費として拾えるようになります。
PC・書籍・取材費など仕事に直結する科目
ライターの仕事に直結する支出も、もちろん経費の対象です。執筆用のパソコン、参考にするための書籍、取材のために出かけた際の交通費などが代表例になります。下の表に、在宅ライターが使いやすい主な勘定科目をまとめておきます。
| 勘定科目 | 在宅ライターでの具体例 |
|---|---|
| 通信費 | ネット回線、スマホ料金(仕事使用分) |
| 消耗品費 | 文房具、インク、10万円未満の備品 |
| 新聞図書費 | 執筆の参考にした書籍、有料記事 |
| 旅費交通費 | 取材・打ち合わせの移動費 |
| 水道光熱費 | 自宅の電気代など(仕事使用分を按分) |
| 地代家賃 | 自宅の家賃(仕事使用分を按分) |
高額なものは少し扱いが変わります。たとえば10万円以上のパソコンのように値段の張るものは、買った年に全額を一度で経費にするのではなく、数年に分けて少しずつ計上していく考え方があります。これを減価償却と呼びます。



金額の基準や処理の仕方は制度で動く部分なので、自分が申告する年の最新情報を国税庁のサイトで確認しておくと安心です。
家事按分が必要になる科目とそうでない科目
勘定科目を見ていくと、扱いが二手に分かれることに気づきます。書籍や取材の交通費のように仕事のためだけに発生した支出は、原則として全額を経費にできます。一方で、家賃や電気代のように仕事とプライベートが混ざっている支出は、そのうち仕事に使った分だけを切り出して計上する必要があります。
この「仕事分だけを切り出す」作業こそが、次のH2で扱う家事按分です。在宅ワーカーが一番つまずきやすく、同時に一番効いてくるところでもあります。ここを乗り越えれば、経費の理解はぐっと深まります。
フリーランスの経費は家事按分でどこまで認められるのか
ここがこの記事の山場です。自宅で仕事をするフリーランスにとって、家賃や電気代、通信費は仕事とプライベートが同じ空間で混ざり合っています。この混ざった支出から、仕事に使った分だけを合理的な基準で切り出すこと、それが家事按分です。考え方さえつかめば、理屈はとてもシンプルです。
家事按分とは仕事分とプライベート分を分けること
家事按分とは、家事つまり生活と、事業つまり仕事が入り混じった支出を、仕事で使った割合だけ経費に振り分ける考え方です。たとえば自宅の電気代が月1万円で、そのうち仕事に使っている割合が3割だと納得できる根拠で示せるなら、3,000円分を経費として計上できる、という具合になります。
ポイントは「納得できる根拠で割合を出す」という一点です。なんとなく多めに入れる、というのは認められません。



逆に、自分なりの筋の通った基準で割合を説明できれば、堂々と計上してよいということでもあります。線引きの主導権は、思っているより自分の側にあります。
在宅ライターに合うのは時間ベースの按分
競合の解説記事の多くは、家事按分の基準として床面積で按分する方法を挙げています。家全体のうち仕事部屋が占める面積の割合で計算する、という考え方です。これはこれで合理的なのですが、決まった仕事部屋を持たず、リビングやダイニングで作業する在宅ライターには、しっくりこないことが多いはずです。
そこで私が使ったのが、時間をものさしにする方法でした。1日のうち、自宅でどれくらいの時間を仕事に使っているか。その割合をもとに、電気代や通信費を按分したのです。家のどこで作業していようと、「1日のうち何時間を仕事に充てているか」なら自分で答えられます。在宅ワーカーには、こちらのほうが実態に合っていて説明もしやすいと感じました。時間ベースで按分する手順は、おおまかに次の流れになります。
- 1日のうち、家で仕事に充てているおおよその時間を把握する
- その時間が1日全体に占める割合を、仕事使用分の按分割合とする
- 電気代や通信費の金額に、その割合をかけて経費分を算出する
- どう割合を決めたかのメモを、根拠として残しておく
按分の根拠は説明できる形で残しておく
どの基準で按分するにしても、大事なのはその割合をどう決めたかを説明できるようにしておくことです。時間ベースなら「平日はおおむね何時間、家で作業している」というメモを残す。床面積ベースなら間取りの数字を控えておく。根拠さえ手元にあれば、後から問われても落ち着いて答えられます。
なお、家賃や光熱費を何割まで按分してよいかには、こうすれば絶対という決まった正解があるわけではありません。実態に照らして無理のない割合にすることが基本です。割合の目安や具体的な計算については制度の運用にも関わるため、自分が申告する年の最新情報を国税庁で確認したうえで判断してください。
初めての確定申告のとき、私はその年の売上がおよそ70万円ありました。自宅で仕事をしている以上、電気代や通信費も経費にできるらしい、とどこかで知りました。でも、いざ自分の家の電気代を経費に入れようとすると、手が止まったんです。「家の電気を、仕事の経費にして本当にいいのか」と。
仕事もプライベートも同じ家で混ざっている。どう線を引けばいいのか、まるで見当がつきませんでした。調べてみてようやく、仕事に使った割合だけを按分して計上すればいいのだと腹に落ちました。割合は、1日のうち家で作業している時間をもとに、電卓を叩いてざっくり出しました。電気・通信・パソコンと、対象になりそうな科目を一つずつ確かめながらの作業です。
迷った末に、電気代を按分して計上しました。やってみれば理屈は単純で、事業に使った分だけを、納得できる基準で按分する。それだけのことだったんです。あのとき思い切って入れてよかったと、今は素直に思えています。



按分の割合、私は「1日のうち何時間くらい家で仕事してるか」から出しました。難しく考えなくて平気ですよ。自分が説明できる基準なら、それでいいんです。
フリーランスが経費で迷ったときの判断基準を持つ
勘定科目と家事按分がわかっても、現実には「これは経費にしていいの?」と迷う支出が次々に出てきます。カフェ代、書籍、衣類、交際費。そんなときに自分を助けてくれるのが、たった一つの判断基準です。ここを持っておくと、迷う時間そのものが減ります。
「事業に必要か」を軸に線を引く
迷ったときに立ち返るのは、「この支出は事業に必要だったか」という一点です。冒頭で確認した経費の定義そのものですが、迷いの場面ではこれが何より効きます。仕事のために必要だったと自分の言葉で説明できるなら経費の候補になり、説明に詰まるなら見送る。シンプルですが強力なものさしです。
たとえば執筆の資料として買った書籍は、仕事のためと説明できます。一方、純粋に趣味で読む本は説明が苦しい。同じ「本」でも、目的で線が分かれるわけです。支出の名前ではなく、その目的で判断するのがコツになります。
迷いやすい支出は目的で判断する
在宅ライターが特に迷いやすい支出を、判断の方向とあわせて整理しておきます。共通するのは「日常生活でも使うものか、仕事のためだけのものか」という視点です。あくまで考え方の例であり、最終的には個々の実態と最新の制度に照らして判断してください。
- カフェでの作業代:そこで実際に執筆や打ち合わせをしたなら、仕事との関連を説明しやすい
- 書籍・有料記事:執筆の参考にしたものは関連を説明しやすく、趣味のものは苦しい
- 衣類・美容:日常生活でも使うものは、仕事専用と言い切るのが難しいことが多い
- 交際費:仕事関係の人との打ち合わせを兼ねた飲食かどうかで分かれる
白か黒かはっきりしないグレーな支出は、必ず出てきます。そのときも「事業に必要か」に立ち返り、説明できる根拠を残しておく。この姿勢が、結局いちばん自分を守ってくれます。



迷ったら「これは仕事に必要か?」で線を引く。私はこの一本でだいぶ判断が楽になりました。説明できないものは、無理して入れないのが結局いちばん安心です。
フリーランスの経費を記録・管理するコツをつかむ
経費にできるものがわかっても、記録が散らかっていると申告のときに泣きを見ます。実は経費まわりでいちばん差がつくのは、知識よりも日々の記録の習慣だったりします。ここでは、特別な道具がなくても回せる管理のコツを紹介します。
領収書とレシートは捨てずに残す
経費を裏づけるのが領収書やレシートです。支出が確かにあったことを示す証拠なので、もらったら捨てずに残しておくのが鉄則になります。ためてから整理しようとすると必ず挫折するので、もらったその場で決まった場所に入れてしまうのが、続けるコツです。
月ごとに封筒を分ける、財布の専用ポケットに入れる、といった小さな仕組みで十分です。完璧な仕組みより、自分が続けられる形を選ぶほうが結果的に長持ちします。私自身、凝った方法は早々に挫折して、最後は財布の別ポケットに放り込むだけの形に落ち着きました。記録まわりで最低限おさえたいのは、次の3つです。
- 領収書・レシートは、もらったその場で決まった場所に入れる
- 口座引き落としの支出は、通帳の記録を証拠として残す
- 月に一度、レシートと通帳を突き合わせて漏れと二重計上を確認する
通帳と突き合わせて漏れを防ぐ
レシートと並んで頼りになるのが通帳の入出金記録です。仕事用の入金や、引き落としで支払った経費は通帳に残ります。レシートと通帳を突き合わせれば、計上漏れや二重計上を防ぎやすくなります。とくに口座引き落としの通信費などは、レシートが手元に残らないので通帳が証拠の役割を果たします。
入金の管理から申告まで通帳一本でどう乗り切ったかは、通帳で入金を管理して申告まで乗り切った方法で具体的に書いています。記録の土台づくりとして、あわせて読んでおくと流れがつかめます。記録をきちんと残せるかどうかが、最終的に経費の計上漏れを防ぎ、無理のない節税につながっていきます。
レシート、最初は面倒で捨ててたんです。でも1年分ためてみたら「これ全部経費にできたのか」と。今はもらったら必ず財布の別ポケットに入れる癖がつきました。記録は、続く形がいちばん強いです。
なお、こうした経費まわりは、青色申告という申告方法を選ぶとさらに有利になる仕組みがあります。経費の計上に加えて特別な控除が受けられるなど、所得を抑える選択肢が広がるのです。開業届の出し方や青色申告の詳しい中身については別の記事で扱う予定なので、ここでは「経費を正しく拾ったうえで、申告方法でもうひと工夫の余地がある」という入口だけ押さえておいてください。


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「経費の線引きはなんとか見えてきた。でも、肝心の売上をどう伸ばせばいいのかがわからない」。経費を整理していると、結局その先にある収入の話が気になってきませんか。
私もそうでした。経費を一生懸命拾っても、もとの売上が小さければ手元に残る額は知れています。文字単価の低い案件で、深夜の厨房で何時間も画面とにらめっこしていたあの頃は、まさにその壁の前で立ち止まっていました。
そこから抜け出せたのは、自分専用のプロンプトを体系化した瞬間でした。構成案も本文執筆もタイトル生成も、AIに任せられるテンプレを26個そろえてから、執筆スピードは大きく上がり、月商も80万円規模に届くようになりました。経費を正しく拾えるのも、自分の事業を自分の手で握っている事業者だからこそ。その「握る力」を、執筆そのものでも持ってほしいのです。
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フリーランスの経費は「事業に必要か」で線を引けば怖くない
フリーランスの経費は、突き詰めれば「この支出は事業に必要だったか」という一つの問いに集約されます。勘定科目で支出を仲間分けし、自宅の家賃や電気代は家事按分で仕事分を切り出す。在宅ライターには、床面積より時間をものさしにした按分のほうが、実態に合って説明もしやすいはずです。
そして迷ったら、いつでもあの一点に立ち返る。「事業に必要か」。これさえ握っておけば、グレーな支出に出会っても落ち着いて判断できます。領収書を残し、通帳と突き合わせる記録の習慣が、その判断を支えてくれます。
経費の閾値や按分の扱いは制度で動く部分があるので、最終的には自分が申告する年の最新情報を国税庁で確認することだけは忘れないでください。経費を正しく拾うことは、自分の事業を自分の手で握ることそのものです。次は、その力を売上のほうにも広げていきましょう。副業ライターとして収入をどう伸ばしていくかの全体像は、副業ライターとして収入を伸ばす全体像にまとめています。









